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従業員の定着と成果向上を実現する組織づくりの秘訣とは?

従業員の定着と成果向上を実現する組織づくりの秘訣とは?

近年、人口減少や少子高齢化による労働力不足が深刻化し、人材獲得競争が激化しています。企業にとって、高い離職率は深刻な損失に繋がる問題です。特に、チームワークが成果に大きく影響する職種においては、メンバーの離職による業務停滞、士気低下、採用コスト増加などの影響は計り知れません。
そこで今回は、離職を防ぎ、成果を上げられるチームを作るために欠かせないポイントを詳しく解説します。
 
離職率が高いチームに潜むあるある課題
メンバー間のギスギスやモチベーション低下は、チームの離職率を悪化させる要因となります。
以下では、離職率が高いチームにありがちな5つの課題と、その具体的な影響について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.従業員の定着と成果向上を実現する組織づくりの秘訣とは?
  2. 2.離職率が高いチームに潜むあるある課題
  3. 3.目指すべき理想のチーム像
  4. 4.従業員エンゲージメントとは? 
    1. 4.1.エンゲージメントと混同されやすい言葉との違い
  5. 5.従業員エンゲージメントを高めるためのファーストステップ:評価
  6. 6.関係性の質を高め従業員エンゲージメントが高いチームを作り上げる
    1. 6.1.受容の懸念を払拭する:メンバーを「ありのまま」に受け入れる
      1. 6.1.1.相手を「ありのまま」に受け入れる
      2. 6.1.2.受容している気持ちを伝える
    2. 6.2.コミュニケーションの懸念を解消する:誤解のない円滑なコミュニケーション
      1. 6.2.1.コミュニケーションプロセスを理解する
      2. 6.2.2.アクティブリスニングを実施する
    3. 6.3.目標の懸念を払拭する:チーム一丸となって目標達成を目指す
      1. 6.3.1.目標を明確にする
      2. 6.3.2.目標達成に向けた行動を計画・実行する
    4. 6.4.リーダーシップの懸念を払拭する:メンバーを導く力をつける
      1. 6.4.1.ビジョンを明確にする
      2. 6.4.2.メンバーを尊重し、エンパワーメントする
      3. 6.4.3.困難な状況でも決断し、行動する
  7. 7.まとめ

離職率が高いチームに潜むあるある課題

メンバー間のギスギスやモチベーション低下は、チームの離職率を悪化させる要因となります。
以下5つが離職率が高いチームのあるある課題です。
 
1.仕事の押し付け合い
・メンバー間で責任の所在が曖昧になり、信頼関係が損なわれる
・モチベーションが低下し、個々の能力が発揮されなくなる
・全体のパフォーマンスが低下し、目標達成が困難になる
2.メンバーの消極性
・新しいアイデアや提案が出ず、チーム全体の成長が停滞する
・業務改善や効率化が進まず、生産性が低下する
・メンバーのキャリアパス形成にも悪影響を及ぼす
3.意見やアイデアの欠如
・創造性や問題解決能力が低下し、チーム全体の活力が失われる
・メンバーが主体的に考える機会が減少し、エンゲージメントが低下する
・社内コミュニケーション不全につながり、意思決定の質の低下を招く
4.他責思考
・問題解決に向けた建設的な議論が行われず、チーム全体の成長が阻害される
・メンバー間の信頼関係が損なわれ、チームワークが崩壊する
・組織全体の風土が悪化し、優秀な人材の流出を招く
5.モチベーションリーダーの不在
・チーム全体の士気が低下し、目標達成への意欲が減退する
・メンバー間の協調性が失われ、個々のパフォーマンスも低下する
・優秀な人材の獲得・育成が困難になり、組織全体の競争力が低下する


目指すべき理想のチーム像

離職率が高いチームに対して、高いパフォーマンスを発揮し続ける理想のチーム像を示します。
 
1.挑戦への積極性
・新しい仕事やタスクに積極的に取り組み、失敗を恐れずに挑戦する姿勢を持つ
・困難な状況でも粘り強く取り組み、目標達成を目指す
・個々のスキル向上とチーム全体の成長につなげる
2.メンバーの積極性
・自発的に行動し、問題解決に取り組む
・周囲を巻き込み、チーム全体の活性を高める
・責任感を持って仕事に取り組み、目標達成に貢献する
3.活発な意見交換と建設的な議論
・自由な意見交換の場を設け、メンバーが積極的に意見を発信できる環境を作る
・互いの意見を尊重し、建設的な議論を行う
・より良いアイデアを生み出し、チーム全体の創造性を高める
4.自責思考と前向きな問題解決
・問題が発生した際に、他人を責めるのではなく、自分の行動を振り返り、改善点を見つける
・主体的に問題解決に取り組み、チーム全体で成長する
・前向きな姿勢で困難を乗り越え、チームの一体感を強める
5.ポジティブなチーム雰囲気
・明るく前向きな雰囲気で、メンバーが安心して意見を言い、積極的に行動できる環境を作る
・相互理解を深め、尊重し合うことで、チームワークを強化する
・コミュニケーションを活性化し、一体感のあるチームを作り上げる


離職率が高いチームは、上記のような課題を抱えていることが多く、その結果、成果の低下や組織全体の競争力低下を招きます。一方、理想のチームは、メンバーが互いを尊重し、主体的に行動することで、高いパフォーマンスを発揮することができます。

それでは、理想のチーム像に近づけていくためには、どのような点に留意すれば良いのでしょうか?
そのカギとなるキーワードは「従業員エンゲージメント」です。
ここからは従業員エンゲージメントとは何か?どのようにして向上させていくのか?その結果どういった効果が見込まれるのか?という点について詳しく掘り下げていきます。


従業員エンゲージメントとは? 

従業員エンゲージメントとは、従業員が仕事や会社に対してどれだけの熱意やコミットメントを持っているかを示す指標です。高いエンゲージメントを持つ従業員は、以下のような特徴を持ちます。

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・高いモチベーションと積極性: 与えられた仕事に自発的に取り組み、目標達成のために努力する

・創造性と問題解決能力: 新しいアイデアを提案し、困難な状況でも粘り強く解決策を見つける

・チームワークと協調性: 周囲と協力し、チーム全体の目標達成に貢献する

・高い生産性と成果: 質の高い仕事を行い、目標を達成する

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つまり、従業員エンゲージメントを高めることは、個々の社員の能力発揮を促進し、チーム全体の成果向上に繋がるのです。


ギャラップ社 (Gallup)やハーバード・ビジネス・レビューなど の調査によると、従業員エンゲージメントの高い企業は、そうでない企業と比べて以下のような成果を出していることがわかっています。


・生産性: 20%以上向上
・利益率: 10%以上向上
・顧客満足度: 向上
・離職率: 減少
・欠勤率: 減少

従業員エンゲージメントは、企業にとってまさに「好循環の源泉」と言えるでしょう。


エンゲージメントと混同されやすい言葉との違い

従業員エンゲージメントは、従業員満足度や従業員ロイヤルティと混同されがちですが、それぞれ異なる概念です。

従業員満足度: 従業員がどれだけ会社に満足しているかを示す指標。給与、福利厚生、職場環境などに基づいて評価されることが多い。

従業員ロイヤルティ: 従業員がどれだけ会社に忠誠心を持っているかを示す指標。企業への愛着や所属意識に基づいて評価されることが多い。

従業員エンゲージメントは、これらの要素を含みつつ、さらに「仕事への情熱」や「積極的に取り組む姿勢」という側面も加味した、より包括的な概念と言えます。


従業員エンゲージメントを高めるためのファーストステップ:評価

従業員エンゲージメントを高めるためには、まず現状を把握することが重要です。その第一歩となるのが、「評価」です。
特に、チーム内の「関係性の質」を評価することが重要です。
ダニエル・キムの「成功循環モデル」によれば、良好な関係性は良好なコミュニケーションを生み、これが高い成果に繋がるという好循環が生まれます。
逆に、関係性の質が悪いと、以下のような問題が発生し、エンゲージメントが低下します。
    • コミュニケーション不足
    • 誤解や対立
    • 不信感
    • モチベーション低下
    • 離職

そこで、ジャック・ギブの「4つの懸念」を用いることで、チーム内の関係の質についての現状認識と対策について理解が促進されますので紹介致します。

4つの懸念とは、以下の通りです。※理解しやすくするため、容易な表現に置き換えています。
    1. 受容の懸念: 自分の意見やアイデアを受け入れてもらえないのではないかという不安
    2. コミュニケーションの懸念: 自分の意見や考えをうまく伝えられないのではないかという不安
    3. 目標の懸念: チームの目標や方向性が理解できないのではないかという不安
    4. リーダーシップの懸念: リーダーを信頼できないのではないかという不安

これらの懸念がチーム内に存在していないかどうかを、まずはリーダー自身が組織を自己評価してみましょう。
より正確な評価を行うには下記のようなアンケート調査をメンバーに行う方法もあります。


関係性の質を高め従業員エンゲージメントが高いチームを作り上げる

「受容の懸念」、「コミュニケーションの懸念」、「目標の懸念」、「リーダーシップの懸念」それぞれの課題克服に向けた方法について、より実践的な内容で解説していきます。

受容の懸念を払拭する:メンバーを「ありのまま」に受け入れる

受容の懸念とは、「自分の意見やアイデアを受け入れてもらえないのではないか」という不安です。チームメンバーが互いを尊重し、安心して意見を発信できる環境を作るためには、この懸念を払拭することが重要です。

そのために、以下の2つのポイントを意識しましょう。

相手を「ありのまま」に受け入れる

・相手の意見や考えを、否定したり、批判したりすることなく、まずは「受け止める」ことが大切です。

・相手の「知覚」、「感情」、「思考」については受け止める対象となります。

・具体的には、「なるほど、そういう考え方もあるんですね」など、共感を示す言葉をかけることが有効です。

受容している気持ちを伝える

・相手を受け入れていることを伝えるためには、「Iメッセージ」を用いることが効果的です。

・「Iメッセージ」とは、「私は○○と感じている」というように、自分の感情を主語で伝える方法です。

・一方、「YOUメッセージ」は、「あなたは○○だ」というように、相手を責めるような表現になりがちです。

・「YOUメッセージ」は、相手を反発させてしまう可能性があるため、「Iメッセージ」を意識的に使うようにしましょう。

コミュニケーションの懸念を解消する:誤解のない円滑なコミュニケーション

コミュニケーションの懸念とは、「自分の意見や考えをうまく伝えられないのではないか、相手の話を正確に理解できていないのではないか」という不安です。メンバー間で円滑なコミュニケーションを促進するためには、この懸念を解消することが重要です。

そのために、以下の2つのポイントを意識しましょう。

コミュニケーションプロセスを理解する

・コミュニケーションは、「言語化」→「発信」→「受信」→「理解・解釈」というプロセスで成り立っています。

・このプロセスを理解し、各項目を丁寧に行うことで、誤解や認識のズレを防ぐことができます。

・具体的には、以下のような点に注意しましょう。

  -相手が理解しやすい言葉を選ぶ

        -自分の意図を明確に伝える

        -相手の話を最後までしっかりと聞く

        -相手の理解度を確認する

アクティブリスニングを実施する

・アクティブリスニングとは、「ただ話を聞く」だけでなく、「相手の気持ちに共感し、理解しようとする」聴き方です。

・アクティブリスニングを実践することで、相手との信頼関係を築き、より深いコミュニケーションを実現することができます。

・アクティブリスニングを行うためには、以下の点に注意しましょう。

  -感情的にならない

  -事実と感情の両面を確認する

  -相手の話を遮らない

  -うなずいたり、相槌を打ったりして、話を聞いていることを示す

目標の懸念を払拭する:チーム一丸となって目標達成を目指す

目標の懸念とは、「チームの目標や方向性が理解できないのではないか」という不安です。チームメンバーが共通の目標を持ち、一体感を持って活動するためには、この懸念を払拭することが重要です。

そのために、以下の2つのポイントを意識しましょう。

目標を明確にする

・チーム全体の目標だけでなく、個々のメンバーの目標も明確にすることが重要です。

・目標を設定する際には、SMARTの法則を意識しましょう。

  -Specific(具体的)

  -Measurable(測定可能)

  -Achievable(達成可能)

  -Relevant(関連性)

目標達成に向けた行動を計画・実行する

・目標を達成するためには、具体的な行動計画を立て、実行することが重要です。

・行動計画を立てる際には、以下の点に注意しましょう。

  -目標達成に必要なタスクを洗い出す

  -各タスクの担当者と期限を決める

  -進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて計画を修正する

チームメンバー全員が目標達成に向けて積極的に行動することで、一体感が生まれ、エンゲージメントも高まります。

リーダーシップの懸念を払拭する:メンバーを導く力をつける

リーダーシップの懸念とは、「リーダーを信頼できるのか、してよいのか」という不安です。チームを成功に導くためには、メンバーから信頼されるリーダーの存在が欠かせません。

そのために、以下の3つのポイントを意識しましょう。

ビジョンを明確にする

チームが目指すべき方向性を明確に示すことが重要です。

ビジョンは、「チームがどのような状態になったら成功と言えるのか」を具体的にイメージしたものです。

ビジョンを明確にすることで、メンバーに共通の目標意識を持たせることができます。

メンバーを尊重し、エンパワーメントする

メンバーの意見やアイデアを尊重し、積極的に活かすことが重要です。

メンバーに裁量権を与え、責任を持たせることで、主体性と成長を促します。

メンバーの成果を認め、称賛することで、モチベーションを高めることができます。

困難な状況でも決断し、行動する

チームが困難な状況に直面したときには、リーダーが迅速かつ的確な判断を下し、行動することが重要です。

責任を負い、リスクを冒すこともリーダーの重要な役割です。

困難を乗り越えることで、チームメンバーの信頼を得ることができます。

まとめ

従業員の定着と成果向上を実現する組織づくりのためには、関係性の質の向上から従業員エンゲージメントを高めていくことが重要です。

今回紹介した、ジャック・ギブの4つの懸念(受容の懸念、コミュニケーションの懸念、目標の懸念、リーダーシップの懸念)をベースに組織の現状を評価し、各組織の課題点を克服するための方法を参考に、一人一人が活き活きと働ける環境をつくることが離職率の低減、ひいては長期的に高いパフォーマンスを上げれる組織の土壌や文化が形成され、組織の成功循環に繋がります。


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