内定辞退を防ぐ! 育成型採用で成功する内定者フォロープログラム【完全版】
内定辞退を防ぐ! 育成型採用で成功する内定者フォロー
近年、優秀な人材の獲得競争が激化する中、内定辞退は企業にとって死活問題とも言える課題となっています。せっかく獲得した人材が辞退してしまうと、採用活動にかかった費用や労力が無駄になるだけでなく、企業イメージの低下にもつながりかねません。
そこで注目されているのが、育成型採用です。育成型採用とは、インターンシップから入社までの一貫したプログラムを通じて、内定者に学びの機会を提供し、成長を実感してもらうことで、入社後の定着率を高める採用手法です。
本記事では、育成型採用の一環としての内定者フォローについて、その重要性、具体的な手法、事例、成功のためのポイントなどを完全版として詳細に解説していきます。
目次[非表示]
- 1.内定辞退を防ぐ! 育成型採用で成功する内定者フォロー
- 2.内定辞退率の現況とそこから見えてくるもの
- 2.1.内定辞退率の統計データ
- 2.2.データから読み取れるもの
- 2.2.1.売り手市場の加速と学生の選択肢拡大
- 2.2.2.学生の価値観・志向の変化
- 2.2.3.今後の展望
- 2.3.まとめ
- 3.内定者研修の重要性
- 3.1.内定者研修・インターンの目的と役割
- 3.1.1.企業文化の理解
- 3.1.2.スキルアップの支援
- 3.1.3.ネットワーキングの機会
- 4.育成型採用で成功する内定者研修モデル!
- 4.1.内定者研修を成功に導くおさえておきたい7つの視点
- 4.1.1.1. 価値観のすり合わせ
- 4.1.2.2. 学習意欲の見極め
- 4.1.3.3. 生産者の価値観理解
- 4.1.4.4. ジョブクラフティング
- 4.1.5.5. オートクライン
- 4.1.6.6. キャリアトランジションサイクルモデル
- 4.1.7.7. ラーニングサイクル
- 4.2.7つの視点に基づいた内定者研修プログラムモデル
- 4.2.1.3日間の内定者研修・インターンプログラム
- 4.2.2.内定者研修モデルの期待効果
- 5.内定者研修とオンボーディングの統合的アプローチ
- 6.まとめ
内定辞退率の現況とそこから見えてくるもの
内定者フォローとは、内定後に企業と内定者が継続的にコミュニケーションを取り、内定者の不安を解消し、企業への理解を深めてもらうための施策です。
まずは近年の内定辞退率の状況課題から見ていきましょう。
内定辞退率の統計データ
内定保有率の増加: 内定者が複数の企業から内定を受け取るケースが増えています。例えば、25卒の内定保有率は前年同期比で2倍近くになっているというデータがあります。
内定辞退の理由
また、内定者が辞退する理由としては、他の企業の選考が進んでいる、より良い条件の企業が見つかったなどがあります。
出典:マイナビ2025年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況
データから読み取れるもの
売り手市場の加速と学生の選択肢拡大
内定保有率の増加は、学生が複数の企業から内定を獲得しやすくなっていることを示しています。これは、少子高齢化による労働力人口減少や、近年の人手不足の影響と考えられます。
学生はより多くの選択肢を持つことで、より自分に合った企業や働き方を選べるようになり、企業にとっても優秀な人材を獲得するための競争が激化します。
学生の価値観・志向の変化
内定辞退理由の変化は、学生の価値観や志向が変化していることを示唆しています。給与や福利厚生だけでなく、企業理念や働き方、キャリアパスなど、より多角的な視点で企業を評価するようになっています。
学生は単に安定した職を求めるだけでなく、自分らしい生き方や自己実現を重視する傾向が強くなっています。
今後の展望
上記より、今後も内定保有率は増加傾向にあり、学生の選択肢はさらに広がっていくと考えられます。そんな中、企業は学生の価値観や志向の変化を理解し、それに合致した採用活動を行うことが重要になります。これからも学生は、複数の企業から内定を獲得できる状況を活かし、積極的に情報収集を行い、自分に合った企業を見極める行動が顕著となるでしょう。
まとめ
上述の通り、新卒・中途問わず採用市況は非常に厳しい状況となっており、従来の内定者フォローのような内定式や懇親会などのイベント開催を画一的に実施するだけでは時代にそぐわなくなってきております。近年では、時代・世代によりマッチした効果的な内定者フォローとして、育成型採用の考え方を導入した取り組みが進んでいます。
育成型採用では、インターンシップから入社までの全てのプロセスで学びの機会を提供することで、内定者が企業の一員としての意識を高め、入社後のスムーズな適応を促進することができ若手世代のキーワードとなっている『意味・意義』にダイレクトにリーチすることが可能です。
また、内定者フォローを継続的に行うことがオンボーディング(組織への適応支援)施策そのものとなり、入社後の定着率を高めることにもつながります。そんな内定フォローの中でもポイントを押さえて実施することで非常に大きな効果をあげることが出来るのが内定者研修となります。
ここからは数ある内定フォロー施策の中でも育成型採用や採用後の定着活躍に最も効果的な内定者研修に絞ってご情報を提供いたします。
内定者研修の重要性
内定者研修は、内定者が企業の文化やビジョンに共感し、入社後の活躍をイメージできるようにするための大切なプロセスです。企業にとって、内定辞退は大きな損失であり、その防止策として内定者研修や内定者インターンのようなコミュニケーションの機会が重要です。
内定者研修・インターンの目的と役割
企業文化の理解
内定者に企業のビジョンやミッションを理解してもらい、共感を得ることが大切です。これにより、内定者自身の価値観と企業の価値観が一致することで、働く意味と意義への自己認識・エンゲージメントの向上に繋がります。
スキルアップの支援
入社前に必要なスキルや知識を身につける機会を提供します。これにより、内定者は自信を持って入社できるようになります。
特に、入社後のネットワーク構築をスムーズにするコミュニケーションスキル研修は、社内外を問わない効果が期待できるためとてもおススメです。
ネットワーキングの機会
内定者同士や既存の社員との交流を促進し、コミュニティ感を醸成します。これにより、内定者は組織文化・職場の雰囲気を感じ取ることができ、安心して入社を迎えることができます。
育成型採用で成功する内定者研修モデル!
内定者研修を成功に導くおさえておきたい7つの視点
1. 価値観のすり合わせ
内定者が企業の理念やビジョンに共感していることが重要です。内定者研修の中で、企業の価値観を改めて伝え、内定者自身の価値観とすり合わせる機会を設けましょう。
具体的には企業理念やビジョンをビジョンブックなどのツールをつかいながら説明したり、内定者同士でディスカッションを行い、互いの価値観を共有するというような方法があります。
2. 学習意欲の見極め
内定者の学習意欲を把握し、それに応じたサポートを提供することが重要です。学習意欲が高い内定者には、より高度な学びの機会を提供し、低い内定者には、自己効力感や学習意欲を高めるためのサポートを行いましょう。
3. 生産者の価値観理解
社会人としての責任感や貢献意識を持つことが重要です。アルバイト経験などを通して、成果と報酬の関係性を理解させ、生産者としてのマインドセットを醸成しましょう。ロールプレイングやケーススタディを通して、社会人としての課題を疑似体験してもらう方法が一般的です。
4. ジョブクラフティング
仕事の意味や意義を理解し、自分の役割を再認識することが重要です。内定者が仕事に主体的に取り組めるよう、仕事内容やキャリアパスについて説明する機会を設けましょう。先輩社員からの講話や座談会を通して、仕事のやりがい、キャリアパスの在り方を伝えることで内定者のポジティブな未来をイメージしてもらえるように設計しましょう。
5. オートクライン
自分の考えや思いを言語化し、他者に伝えるディスカッションなどのセッションを設けることが重要です。内定者同士が互いに学び合い、成長できる場を整備し、自社で働く意味と意義、内定者と自社のBeingの共通点の認識を高めてもらえうことがポイントです。
6. キャリアトランジションサイクルモデル
入社後のスムーズな適応をサポートするために、キャリアの転換点におけるフォローを充実させましょう。まずは学生から社会人になるにあたって、何が終わり、何が始まるのかを言語化し、社会人へのマインドセットを入社前から徐々に意識出来るようにサポートしていきましょう。入社前、入社後、配属後など、それぞれのフェーズにおける課題やサポート内容を明確にしておくことも重要です。
7. ラーニングサイクル
目標設定、行動、振り返り、改善のサイクルを意識し、継続的な成長を促進しましょう。内定者研修の中で、目標設定や振り返りのワークショップを取り入れることで、内定者が自律的に学習できる環境を整備しましょう。このサイクルは、社会人としての成長を最大限に加速させる上で最も重要な考え方となりますので、内定者研修から新入社員研修まで一貫性をもって伝えていくことで、その後の育成プログラムにもスムーズに接続することが可能となります。
7つの視点に基づいた内定者研修プログラムモデル
前段でお伝えした7つのポイントを網羅したプログラムが下記になります。
3日間の内定者研修・インターンプログラム
1日目:自己理解と原点回帰
ライフヒストリーワーク: 自分の過去や価値観を振り返り、言語化することで、自己理解を深めます。
【具体的なワーク例】
①幼少期から現在までの出来事を時系列に並べて、それぞれの出来事における自分の感情や考えを書き出す。
②影響を受けた人や、自分が大切にしている価値観を書き出し、グループで共有する。
グループワーク: 内定者同士で自己紹介を行い、互いの価値観や強みを共有することで、共感と信頼関係を築きます。
【具体的なワーク例】
①アイスブレイクゲームを通して、互いに親睦を深める。
②グループワークで、共通の課題に取り組む。
③成果発表を行い、互いにフィードバックを行う。
2日目:生産者意識の醸成
グループディスカッション:内定者同士で学生時代と社会人の違いについてや何が終わり、何が始まるのか?などキャリアトランジションサイクルモデルに基づきディスカッションを行います。
適性診断の理解: 自分の強みや弱みを定性データより客観的に理解し(自己認識の向上)、それを仕事に活かす方法を学びます。
育成型グループワーク: チームで協力して課題を解決することで、生産者としての意識を高めます。ただのグループワークではなく、生産性、協働などの学びを得ることが出来るコンテンツがおススメです。
【具体的なワーク例】
①生産性・協働・コスト意識などを学ぶことが可能なビジネスゲームを実施する。
②チームで協力して戦略を立て、実行する。
③ゲーム後の振り返りを行い、学びを共有する。
3日目:チャレンジを通じた課題設定
ビジネスシミュレーション: 実際の業務に近い状況を想定したシミュレーションを行い、課題解決能力を磨きます。
【具体的なワーク例】
①営業、企画、マーケティングなど、実際の業務に近いシミュレーションを行う。
②シミュレーション後の振り返りを行い、学びを共有する。
③自分の強みや弱みを活かせる課題を設定する。
④アクションプラン作成: 研修で得た学びを活かして、入社後に取り組む課題を設定します。
【具体的なワーク例】
①SMARTの法則に基づいた目標を設定する。
②目標達成に向けた具体的な行動計画を作成する。
内定者研修モデルの期待効果
上記例のようなプログラムを実施することで下記のような効果が期待できます。
・企業へのエンゲージメントの向上
-内定者同士のネットワーク形成
-社内ネットワークの形成
-働くことの意味と意義の深い理解
-組織文化・雰囲気の理解
・社会人としてのマインドセット
-学生と社会人の違い
-社会人としての自律的成長のための知識とプロセスの理解
また、内定者研修のアウトプットより内定者のスタンス、言語化能力、価値観など面接や懇親会では見えなかった内定者の内面を企業側が深く理解できることも非常に大きなポイントとなります。
内定者研修とオンボーディングの統合的アプローチ
内定者研修をオンボーディング施策の一部と捉えなおすこともとても重要です。
内定者研修単体で実施するのではなく、オンボーディングプログラムとして内定者研修ー新入社員研修ーOJT研修ー若手研修のように継続的に実施することで入社後も新入社員が組織にスムーズに適応し、早期に戦力化していくことに繋がります。採用活動から入社後の3年目まで継続的に施策を実施することが理想的です。
オンボーディングの期間とフェーズ
プレ期(採用後半): 採用決定後から入社前までの期間。この期間に内定者研修やフォローアップミーティングを実施しエンゲージメント向上、ネットワーク構築、コミュニケーションスキルを身に着けることが重要です。
コンタクト期(入社1年目): 入社後の初年度。この期間に新入社員研修やメンタリングプログラムを通じて、社員としての基礎を築きます。
フォロー期(入社2年目以降): 入社後の2年目から3年目まで。この期間に定期的なフォローアップやキャリア相談を行い、継続的な成長をサポートします。
まとめ
近年、優秀な人材の獲得競争が激化する中、内定辞退は企業にとって死活問題とも言える課題となっています。そこで注目されているのが、育成型採用と内定者フォローの統合的な取り組みです。
本記事では、育成型採用における内定者フォローの重要性、具体的な手法・事例、成功のためのポイントなどを詳細に解説してきました。
育成型採用における内定者フォローは、単に内定辞退を防ぐだけでなく、入社後の定着率を高め、早期戦力化を実現するための重要な施策です。
ポイントは以下の7つです。
1.価値観のすり合わせ
2.学習意欲の見極め
3.生産者の価値観理解
5.オートクライン
6.キャリアトランジションサイクルモデル
7.ラーニングサイクル
これらのポイントを踏まえ、自社に合った内定者フォロープログラムを設計・実行することで、育成型採用の成功を収めることができます。
内定者フォローは、単発のイベントではなく、入社前から入社後までのオンボーディング施策の一部として継続的に行うことが重要です。
育成型採用と内定者フォローを成功させることで、企業は優秀な人材を確保し、組織の成長を促進することができます。
本記事が、皆様の内定者フォロー施策の策定・改善に少しでもお役立て頂けますと幸いです。
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