4.新入社員の早期適応を促すコミュニケーションの極意
前回に引き続き、新入社員の定着率を向上させていくために重要なポイントの解説を続けていきたいと思います。
前回お伝えしたのは
1.クルト・レヴィンの法則にのっとって、環境を整えることの重要性
2.環境=組織・部署を整えていくには成功循環モデルの『関係の質』から高めていくことの重要性
3.『関係の質』を高めるためには自己理解(セルフアウェアネス)→自己開示→相互理解の順で行うこと
をお伝えしました。
新入社員の定着のみならず、組織として成果を持続的に高めていくためのアプローチにもなりますので、ぜひ、最後まで読んで新入社員のオンボーディング、組織力の向上の参考のヒントにしてもらえたらと思います!
■ 本記事のターゲット
新入社員の定着率向上に悩む人事担当者
新入社員の育成プログラムをより効果的にしたいと考えている企業経営者
新入社員の受け入れに悩んでいる現場担当者
■ 本記事の目的
単なる知識の羅列ではなく、実践的なオンボーディング施策をわかりやすく紹介
最新の理論に基づき、新入社員の定着率向上に効果的な方法を提案
新入社員と組織双方の成長を促進するオンボーディングの重要性を再認識
■ 本記事で学べること
1.新入社員のオンボーディングについて知っておくべき3つのポイント
2.新入社員の定着・活躍は組織の関係性から始まる!ダニエル・キムの成功循環モデル
3. 関係性を高めるにはまず自己理解から セルフアウェアネス
4.新入社員の早期適応を促すコミュニケーションの極意
目次[非表示]
- 1.新入社員の早期適応を促すコミュニケーションの極意
- 2.新入社員の特徴とコミュニケーションの重要性
- 2.1.1. 新入社員の特徴
- 2.1.1.1.1 期待と不安
- 2.1.2.1.2 学びと成長の意欲
- 2.2.2. コミュニケーションの重要性
- 2.2.1.2.1 早期適応
- 2.2.2.2.2 信頼関係の構築
- 3.新入社員との効果的なコミュニケーション戦略
- 3.1.【挨拶】~新入社員との距離を縮め、エンゲージメントを高める架け橋~
- 3.2.【オープンドアポリシー】~新入社員の不安を取り除き、主体性を引き出す環境づくり~
- 3.3.【コミュニケーションの量を増やす】~新入社員との信頼関係を築き、円滑な業務を促進する~
- 3.4.【アクティブリスニング】~新入社員の「声なき声」に耳を傾け、エンゲージメントを高める~
- 3.5.【明確なコミュニケーション】~新入社員のミスを減らし、目標達成を促進する~
- 3.6.【ポジティブフィードバック】~新入社員の「成長」を促進し、モチベーションを高める力~
- 4.まとめ
新入社員の早期適応を促すコミュニケーションの極意
本記事では、新入社員が組織にスムーズに適応し、早期に活躍できるようにするための具体的なコミュニケーション戦略と実践方法や要点を具体的にお伝えしていきます。
新入社員が組織に早く馴染むためには、適切なコミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションが不十分だと、新入社員が孤立感を感じ、停滞したり、早期離職の原因となり、組織の生産性、収益性に大きな損害をもたらしかねないのです。
新入社員の特徴とコミュニケーションの重要性
1. 新入社員の特徴
1.1 期待と不安
新入社員は、新しい環境に対する大きな期待と同時に、未知への不安を抱えています。期待としては、新しい仕事で活躍したい、社会貢献したい、自身の可能性を広げたいなどが挙げられます。
一方、不安としては、仕事内容に適応できるか、周囲と良好な関係を築けるか、期待に応えられるかなどが挙げられます。この期待と不安の具体的な内容はアンケート調査でも過去20年間変化していないため、特に不安点については、それらの不安を払拭するための対策を講じておくとよいでしょう。
1.2 学びと成長の意欲
多くの新入社員は、新しいスキルを学び、成長したいという強い意欲を持っています。彼らは、研修や教育プログラム、先輩社員からの指導など、様々な機会を通じて学び、成長しようと積極的に行動します。
2. コミュニケーションの重要性
新入社員が組織に円滑に適応し、活躍するためには、良好なコミュニケーションが不可欠です。
2.1 早期適応
適切なコミュニケーションは、新入社員が早期に組織文化に適応するのを助けます。具体的には、以下のようなコミュニケーションが有効です。
定期的な面談
上司が定期的に面談を行い、新入社員の仕事内容、進捗状況、課題などを把握し、必要なサポートを提供します。
カジュアルな対話: 上司や先輩社員が積極的に新入社員と会話し、仕事のことだけでなく、プライベートなことなども気軽に話せる雰囲気を作ることで、新入社員は安心して相談できるようになります。
フィードバック:上司が具体的なフィードバックを提供することで、新入社員は自分の強みや弱みを理解し、改善点を見つけることができます。
2.2 信頼関係の構築
オープンで積極的なコミュニケーションは、信頼関係を築き、新入社員の安心感を高めます。具体的には、以下のようなコミュニケーションが有効です。
質問や意見を歓迎する姿勢
上司が新入社員の質問や意見を積極的に受け止め、尊重することで、新入社員は自分の意見を言いやすい雰囲気を感じることができます。
ミスに対する寛容さ
上司が新入社員のミスを寛容に受け止め、改善点を指導することで、新入社員は安心して仕事に取り組むことができます。
チームワークの重要性を強調すること
上司がチームワークの重要性を強調し、新入社員をチームの一員として歓迎することで、新入社員は所属意識を高めることができます。
上記でお伝えした内容に加え、さらにコミュニケーションの質を高めるための
具体的なポイントをお伝えしていきます。
新入社員との効果的なコミュニケーション戦略
【挨拶】~新入社員との距離を縮め、エンゲージメントを高める架け橋~
挨拶は、コミュニケーションの土台であり、新入社員との良好な関係構築の第一歩です。
名前を呼んで挨拶することで、一人ひとりを尊重し、存在を認めているというメッセージを伝えられます。
例えば、「○○さん、おはようございます!昨日の○○、お疲れ様でした。今日も元気に頑張りましょう!」と、名前を呼び、具体的な話題に触れることで、より親密度を高めることができます。
挨拶は、笑顔を添えて行うことが大切です。笑顔は、親しみやすさと温かい印象を与え、コミュニケーションを円滑にします。
【オープンドアポリシー】~新入社員の不安を取り除き、主体性を引き出す環境づくり~
上司や先輩がいつでも気軽に相談できる環境を整えることで、新入社員は安心して業務に取り組むことができます。
例えば、オフィスのドアを常に開け放ち、積極的に話しかけるように心がけましょう。
定期的に個別面談を行い、新入社員の声に耳を傾け、共感を示すことが重要です。
新入社員が困っていることがあれば、すぐにサポートできるように体制を整えましょう。
【コミュニケーションの量を増やす】~新入社員との信頼関係を築き、円滑な業務を促進する~
最初は、仕事以外の話題からコミュニケーションを始めることで、リラックスした雰囲気を作り出すことができます。
例えば、「週末はどんな風に過ごしましたか?」など、軽い話題から始めてみましょう。
その後、自然な流れで仕事の話題に移行することで、新入社員も安心してコミュニケーションに参加することができます。
コミュニケーションの中では、アクティブリスニングを意識することが重要です。
相手の話を最後までしっかりと聞き、共感を示すことで、信頼関係を築くことができます。
適宜質問を投げかけたり、相槌を打ったりすることで、話を引き出すことも大切です。
【アクティブリスニング】~新入社員の「声なき声」に耳を傾け、エンゲージメントを高める~
アクティブリスニングは、新入社員の意見や思いをしっかりと理解し、共感を示すコミュニケーション技法です。
以下のポイントを意識して、アクティブリスニングを実践しましょう。
非言語コミュニケーションにも注意し、アイコンタクトやジェスチャーで関心を示す。
相手の話を最後まで集中して聞く。
メモを取ることで、理解度を高める。
共感を示す言葉(「そうですね」「なるほど」など)を適宜発する。
質問をすることで、話を深掘りする。
アクティブリスニングを積極的に実践することで、新入社員は尊重されていると感じ、安心して会社に貢献することができます。
【明確なコミュニケーション】~新入社員のミスを減らし、目標達成を促進する~
新入社員に対しては、具体的にかつわかりやすく指示を出すことが重要です。
例えば、「この資料を来週の金曜日までに作成してください。特に、売上と顧客満足度の2つのポイントを意識して作成してください。」のように、5W1Hを参考にしながら、具体的な指示と期待値を伝えます。
また、定期的に進捗状況を確認し、必要に応じてアドバイスを与えることも大切です。
【ポジティブフィードバック】~新入社員の「成長」を促進し、モチベーションを高める力~
新入社員の成長を認め、称賛することは、彼らのモチベーションを高め、さらなる成長を促すために非常に重要です。
フィードバックを行う際には、以下のポイントを意識しましょう。
・具体的な成果に言及する
単に「頑張ったね」ではなく、「今回のプロジェクトで目標を120%達成した君は素晴らしい!君の積極的な提案と献身的な努力が成果に繋がったね!」のように、具体的な数字を用いて成果を明確に示しましょう。
・プロセス・努力を具体的に評価する
「根拠となるデータも正確にすべて調べあげて丁寧に資料を作成してくれたね。その熱意と真摯な姿勢がクライアントとの信頼を獲得したんだね。」のように、具体的な行動や言動を評価することで、新入社員は認められていると感じ、自信に繋がります。
・今後の成長に向けて励ます
「今回の経験を活かして、プレゼンテーションのスキルを磨いていけば、さらに活躍できると思うよ。期待しています!」のように、具体的なアドバイスを添えて励ますことで、新入社員はさらなる成長を目指して努力するようになります。
ポジティブフィードバックは、タイミングが重要です。頑張っている最中や成果が出た直後に伝えることで、より効果が期待できます。
また、笑顔を添えて誠意を込めて伝えることも大切です。
まとめ
新入社員の定着率を高めるためには、コミュニケーションを積極的に行い、良好な関係を築くことが重要です。
具体的なポイントは以下の通りです。
挨拶を積極的に行い、名前を呼ぶことで、新入社員に認められていると感じてもらう。
オープンドアポリシーを徹底し、新入社員がいつでも気軽に相談できる環境を整える。
コミュニケーションの量を増やし、アクティブリスニングを意識することで、新入社員との信頼関係を築く。
明確な指示を出すことで、新入社員のミスを減らし、目標達成を促進する。
ポジティブフィードバックを積極的に行い、新入社員の成長を促進し、モチベーションを高める。
これらの施策を実行することで、新入社員の4つの適応を促し、会社や部署へのエンゲージメントが高まり、それぞれ与えられたステージ、役割で活躍し、円滑なファーストキャリアのスタートを切ることが出来るのです。