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2. 新入社員の定着・活躍は組織の関係性から始まる!ダニエル・キムの成功循環モデル

前回に引き続き、新入社員の定着率を向上させていくために重要なポイントの解説を続けていきたいと思います。

前回お伝えしたのはクルト・レヴィンの法則にのっとって、環境を整えることの重要性をお伝えしました。

今回お伝えしていく内容は、『環境を整える』とは具体的にどういうことなの?という部分です。

新入社員の定着のみならず、組織として成果を持続的に高めていくためのアプローチにもなりますので、ぜひ、最後まで読んで新入社員のオンボーディング、組織力の向上の参考のヒントにしてもらえたらと思います!


■ 本記事のターゲット
新入社員の定着率向上に悩む人事担当者
新入社員の育成プログラムをより効果的にしたいと考えている企業経営者
新入社員の受け入れに悩んでいる現場担当者


■ 本記事の目的
単なる知識の羅列ではなく、実践的なオンボーディング施策をわかりやすく紹介
最新の理論に基づき、新入社員の定着率向上に効果的な方法を提案
新入社員と組織双方の成長を促進するオンボーディングの重要性を再認識

■ 本記事で学べること
1.新入社員のオンボーディングについて知っておくべき3つのポイント 
 2.新入社員の定着・活躍は組織の関係性から始まる!ダニエル・キムの成功循環モデル
 3. 関係性を高めるにはまず自己理解から セルフアウェアネス
 4. 新入社員の早期適応を促すコミュニケーションの極意 

目次[非表示]

  1. 1.新入社員の定着・活躍は組織の関係性から始まる!ダニエル・キムの成功循環モデル
    1. 1.1.ダニエル・キムの成功循環モデルとは?
  2. 2.関係の質を高めるための具体的なアプローチ
    1. 2.1.関係の質の定義
    2. 2.2.相互理解の促進
  3. 3.思考の質、行動の質、結果の質の向上
    1. 3.1.思考の質の向上
    2. 3.2.行動の質の向上
    3. 3.3.結果の質の評価
  4. 4.【補足】組織全体でのモデル適用の効果
    1. 4.1.全体最適化の重要性
    2. 4.2.リーダー(上司・マネージャー・先輩社員)の役割
    3. 4.3.継続的な改善
  5. 5.まとめ

新入社員の定着・活躍は組織の関係性から始まる!ダニエル・キムの成功循環モデル

本記事では、ダニエル・キムの成功循環モデルを用いて、新入社員の定着と活躍を促進するための具体的なアプローチを解説します。特に「関係の質」を高めることに焦点を当て、そのための自己理解と相互理解の重要性を探ります。

新入社員の早期離職やパフォーマンスの低迷は、多くの企業が直面する課題です。これを解決する鍵は、組織の関係性にあるのではないでしょうか?

ダニエル・キムの成功循環モデルとは?

ダニエル・キムの成功循環モデルは、組織の成長・成功を持続的に促進するためのフレームワークです。このモデルは4つの要素から成り立っています。

関係の質:組織内の人間関係の質。信頼、協力、コミュニケーションの良さが含まれます。

思考の質:メンバーが持つ考え方や問題解決のための思考の質。ポジティブで創造的な思考が重要です。

行動の質:実際に行動に移されるアイディアやプランの質。計画の実行とその結果に対する責任が求められます。

結果の質:これらの行動から得られる成果の質。良い結果が次のサイクルの動機づけとなります。

成功循環モデルは、組織が成果を上げ続けるために必要な要素とプロセスを明らかにしたもので、サイクルの回し方によって、グッドサイクルとバッドサイクルの2種類に分類されます。

グッドサイクル

1.関係の質を高めることから始めます。メンバー同士が互いを尊重し、信頼し、協力し合うことで、より良いアイデアが生まれ、問題解決もスムーズになります。

2.関係の質の向上は、思考の質の向上につながります。メンバーは主体的に考え、創造性を発揮し、問題解決に取り組みます。

3.思考の質の向上は、行動の質の向上につながります。メンバーは積極的に行動し、コミットメントを持ち、責任感を持って仕事に取り組みます。

4.行動の質の向上は、結果の質の向上につながります。目標達成度が上がり、顧客満足度が高まり、収益性も向上します。

結果の質の向上は、さらに関係の質を高め、好循環を生み出します。

バッドサイクル

1.一方、バッドサイクルは、結果を追い求め、目先の業績を向上させようとするところから始まります。

2.そうしたやり方には無理があるので、強制力や指示命令の行使、やらされ感の高まりによって「関係の質」が低下します。

3.関係の質の低下は、「思考の質」と「行動の質」の低下につながります。メンバーは受け身になり、自発的・積極的に行動しなくなるため、成果が上がりません。

4.結果の質の低下は、さらに人間関係が悪化し、悪循環に陥ってしまいます。一時的に業績が上がる可能性はあるとしても、継続的な発展は見込めません。

なぜこのモデルが組織の成長と新入社員の定着に重要なのでしょうか?それは、ファーストステップとして関係の質にフォーカスし、ここを高めることで、新入社員の思考の質、行動の質、そして結果の質が向上し、持続的な成功=定着・活躍に繋がるグッドサイクルへと繋がるためです。

関係の質を高めるための具体的なアプローチ

関係の質の定義

組織内の関係の質とは、信頼、協働、コミュニケーションの良好さを指します。これらがしっかりと構築されると、チーム内に心理的安全性が醸成されメンバー同士の協力、組織学習が促進され、仕事の効率にレバレッジが効いてくるようになります。以下に関係の質を高める上でのキーワードについて参考までに触れておきます。

信頼関係:信頼関係は、同僚や上司との間での約束や期待が守られることから生まれます。約束を守ることで、相手との信頼関係が築かれます。

協働:協働とは、チームメンバーが互いにサポートし合い、共通の目標に向かって努力することです。

コミュニケーション:効果的なコミュニケーションは、認識のズレを防ぎ、情報を正確に伝えるために必要です。質よりもまずは量を意識的に増やし、その次に質を高めることが重要なポイントです。

自己理解の重要性:関係の質を高めるための第一歩は、自己理解です。自分の強みや弱み、価値観、モチベーションの源泉などを知り、自分の行動や反応が他人にどのような影響を与えるかを理解することが重要です。自己評価やフィードバックを通じて、自分自身を客観的に見つめ直す意識を持つことが重要です。

自己評価:自己評価は、自分のスキルや行動・言動・スタンスを定期的に見直すことです。これにより、自分の成長点や改善点を明確にできます。自己評価精度の向上は他者評価精度の向上にも繋がります。

フィードバック:フィードバックは、他人から自分の行動・言動・スタンスやパフォーマンスについての意見をもらうことです。建設的なフィードバックを受け入れることで、自己理解がさらに深まります。

相互理解の促進

自己理解を基盤として、次に重要なのは相互理解です。これは、組織内での協働の成果を最大化するうえでの信頼関係構築にダイレクトに繋がるため非常に重要です。例えば、チームビルディング活動や公私問わず、お互いを知るためのコミュニケーションの機会を創出したり、定期的な食事やレクリエーションの場を持つことで、お互いの価値観や考え方を理解する機会を増やします。

チームビルディング活動:チームビルディング活動は、メンバー同士の信頼関係を深めるための活動です。例えば、共同作業や問題解決のための研修やワークショップなどがあります。

コミュニケーションの機会:定期的なミーティングやカジュアルでリラックスできる対話の場を設けることで、メンバー同士のコミュニケーションを促進します。

思考の質、行動の質、結果の質の向上

思考の質の向上

関係の質が高まりチーム内に心理的安全性が醸成されると、メンバーはお互いに意見を尊重し合い、建設的なフィードバックや意見・見解を交換したり、事例のベストプラクティスの共有を行うようになり組織学習が活発になります。これにより、思考の質が向上し、創造的なアイデアや問題解決のための新しいアプローチが生まれます。

ポジティブな思考:ポジティブな思考は、問題解決や新しいアイデアの創出に重要です。メンバーがお互いに支え合う環境を作ることで、ポジティブな思考が促進されます。

創造的な思考:創造的な思考は、既存の枠にとらわれない新しいアイデアを生み出すことです。これを促進するためには、自由な発想が許される環境を作ることが大切です。

行動の質の向上

高い思考の質は、実際の行動の質に直結します。新入社員が自信を持って行動できるようにするためには、明確な目標設定や具体的な行動計画が必要です。また、上司や同僚からのサポートも重要です。

目標設定:明確な目標を設定することで、新入社員は何を達成すべきかを理解しやすくなります。SMART(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限がある)な目標設定が効果的です。

行動計画:具体的な行動計画を立てることで、新入社員は目標達成に向けてどのように行動すべきかを明確にできます。

振り返りの支援:行動計画に対する実際の行動についての振り返りの機会を持つように支援していくことが新入社員の自己成長力と自己効力感の醸成に繋がります。

結果の質の評価

行動の質が高まり、振り返りの質が高まると自然と結果の質も向上します。しかし、結果とそのプロセスを正確に評価し、フィードバックを行うことも重要です。これにより、さらに良い結果を生み出すための改善点を見つけることができます。

評価方法:結果の評価は、公平かつ客観的に行われるべきです。具体的な指標を用いて評価を行うことで、公平性を保ちます。

フィードバック:結果に対するフィードバックは、新入社員の成長を促進するために不可欠です。事実に基づいたポジティブなフィードバックと建設的な改善点の両方を伝えることが大切です。

【補足】組織全体でのモデル適用の効果

全体最適化の重要性

組織全体で成功循環モデルを適用することで、長期的な効果が得られます。個々のメンバーだけでなく、チームや部署全体で関係の質を高める取り組みを行うことで、組織全体のパフォーマンスが向上し、新入社員や新たに組織に参入するメンバーのオンボーディングに繋がります。

チームレベルの適用:チーム全体で関係の質を高めるための活動を行うことで、個々のメンバーがより良い成果を出せるようになります。

部署レベルの適用:部署全体での取り組みとして、定期的な評価やフィードバックを行うことで、組織全体の関係の質が向上します。

リーダー(上司・マネージャー・先輩社員)の役割

リーダー(上司・マネージャー・先輩社員)は、関係の質を高めるための鍵となる存在です。リーダーが積極的に信頼関係を築き、メンバー同士の協力を促進することで、組織全体の関係の質が向上します。具体的なリーダーシップの行動としては、定期的なフィードバックの実施やオープンなコミュニケーションの推進などが挙げられます。

信頼関係の構築:リーダーが率先して信頼関係を築くための行動をとることで、メンバー同士の信頼感や一体感も高まります。

協力の促進:リーダーが協力を促進する環境を作ることで、チーム全体の協力・協働関係が強化されます。

継続的な改善

成功循環モデルのサイクルを持続的に回すためには、常に関係の質を見直し、改善する努力が必要です。定期的な評価とフィードバックを通じて、関係の質、思考の質、行動の質、結果の質を継続的に向上させることが重要です。

まとめ

ダニエル・キムの成功循環モデルを通じて、新入社員の定着と活躍を促進するためには、特に「関係の質」を高めることが重要であることをお伝えしました。自己理解と相互理解を基盤とした関係の質の向上が、思考の質、行動の質、結果の質に好影響を与え、新入社員の定着・活躍、および組織全体の成功を持続させることに繋がるのです。

人事担当者や現場の上司・リーダーのみなさまに、まずは自己理解と相互理解を深めるための具体的なアクションを取ることをお勧め致します。例えば、自己評価ワークショップの実施や定期的なチームビルディング活動の導入などが効果的です。

次回は関係性を高める上でも個人のウェル・ビーイングを実現するうえでも核となる自己理解(セルフアウェアネス)の方法についてご説明致します。


組織に成功循環モデルのグッドサイクルをもたらすための知識・スキルを体系的に設計しているものがリエゾの新入社員研修となります。

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